炭治郎が呼吸の才能なかったという捏造しかない話です。
約9000字/原作軸
「やだやだやだ!怖い怖い怖い怖い!」
「すまない善逸。頑張ってくれ、応援してるぞ。お前なら絶対に大丈夫だ。禰豆子も一緒にいる。俺も屋敷の外で待機してるから」
「うううううう?!!あああああ??怖いよおおおお!でも禰豆子ちゃんの為だもんなあああ?。ごめんよ禰豆子ちゃーん!なるべく俺が頑張るからあああああ!」
ぐすぐすと泣く黄色い羽織の金きら頭の少年を顔まですっぽり覆い隠した黒子のような少年が宥める。黒子の少年は自らが背負っていた箱を金きら頭の少年に渡すと「俺たちの為にすまない、善逸」と眉根を下げて苦しそうに言った。そんな少年を見た金きら頭の善逸と呼ばれた少年は恐怖に震えながらも頭を振る。
「いいんだよ・・・・・・俺が自分で、自分で炭治郎と禰豆子ちゃんを手助けするって決めたんだ。だから・・・・・・そんな顔するなよ」
泣き笑いのような顔で言う善逸に、炭治郎と呼ばれた黒子少年はぐっと胸が痛むが一歩後ろに下がると真正面から善逸を見た。そしていつも通り、善逸を鼓舞する言葉を舌に乗せる。
「善逸、俺たちはお前だけが頼りなんだ。お前に期待してるんだ」
「・・・・・・うん。炭治郎、俺、頑張るよ」
こくりと頷いた善逸は鼓屋敷の中へ箱にいる禰豆子と共に入っていった。炭治郎はそれを見送りながら己はなんて無力なんだといつも悔しく思う。しかし鬼を倒せぬ隠の炭治郎でもできることはある。今はひとまず、兄が連れて行かれてしまったという子供らを保護してやることができる。
(善逸・・・・・・死ぬなよ・・・・・・)
炭治郎は禰豆子と一緒とはいえ、これから1人で鬼を倒さねばならない善逸にどうか生きて帰ってきてくれと大して信じてもいない神仏に祈った。
****
「炭治郎、多分、お前はダメなんだ。呼吸が全集中の呼吸が使えない身体なんだ。才能が、ない」
鱗滝の教えが途絶えて約一年、錆兎と真菰と出会って三ヶ月、いつも面を被っていた錆兎が素顔をあわらし、悲しそうな顔で炭治郎にそう言った。そして「お前が本気で強くなりたかったのは知っている。お前の行動は何一つ悪くない。ただ、才能がない。・・・・・・力になってやれなくてすまない」そう言ったきり炭治郎は錆兎と真菰とは会えなくなった。炭治郎は鱗滝の元に戻ると己に呼吸の才能がないのかを問うた。鱗滝は悲しそうな匂いをさせるだけだった。
それから炭治郎は最低限の衣食をしながら、日がな無気力に禰豆子を見て過ごした。禰豆子は程なくして目を覚ました。禰豆子は人を食いたがる様子はなく、よく眠る。鱗滝の推測の話では禰豆子は人の血肉を喰らう代わりに眠ることで体力を回復しているのかもしれないとのことだった。
禰豆子は人を喰わない。しかし、炭治郎は才能がなく剣士になれない。鬼を探して禰豆子を人に戻す方法を探ることができない。剣士になれぬ炭治郎では強い鬼に当たればあっという間に喰われてしまう。
炭治郎は鱗滝が何も言わないのをいいことに禰豆子と滞在を重ねていた。禰豆子を連れて逃げ出せば、鱗滝に禰豆子を殺されるかもしれないと思ったからでもあった。目の届く場所にいる限り、鱗滝は見逃してくれるかもしれない。しかし鱗滝は老齢だ。いつかは死ぬ。そうしたら庇護の手はなくなってしまう。
どうしたらいい。やはり鬼の禰豆子は人を喰う前に死なせてやるべきなのか。今ならば罪なく極楽に行けるのではないか。死んだ家族と同じ場所に逝けるのではないか。炭治郎はよく眠る禰豆子に対してろくに眠らず考えに暮れた。もはや炭治郎に出来ることはそれしかなかった。
そんな時、鱗滝に文が届いた。珍しいなと思いながら炭治郎が鴉から受け取ったその文を渡すと、文に目を通した鱗滝から決然とした匂いと期待をした匂いが漂った。そして急いで文を認めるとどこかから鴉を呼び、文を渡して飛ばす。
炭治郎はそれに何かあったのかとぼんやり思いながら眠る禰豆子を見つめているとガツンと頭を叩かれた。
「呆けているのは終いだ。大事な客人がくるぞ」
鱗滝はそう言うと炭治郎に掃除と飯炊きを指示した。客人というのは鬼殺隊の人だろうか。禰豆子を隠さなくてはいけないのではと慌てる炭治郎に鱗滝は「いらぬ心配をするな!早くしろ!」と一括する。炭治郎は慌てて客人を迎える準備に奔走した。
「この二人が手紙にも書いた、炭治郎と禰豆子だ。禰豆子は鬼だが人を食ったこともなく、兄を守る気概を見せる。そして人を食う代わりにおそらく眠りで体力を回復させている」
「ううむ・・・・・・」
鱗滝の家を訪れたのは桑島という老人だった。桑島も育てで鱗滝とな知己であるらしい。炭治郎は簡単な説明を受けて禰豆子を殺されないかと、冷や冷やしたが今のところ桑島から不穏な匂いはない。鱗滝同様に優しい御仁のようだった。
「して、わしを呼び出した理由は?」
「お前の自慢の弟子にこの二人を託したい」
「なんだと!?」
「禰豆子は人を食っていない。罪はない。炭治郎は禰豆子を人に戻す方法を探りたがっているのだ。しかし炭治郎には呼吸の才がない。剣士にはなれない。だからお前の弟子に二人を託し、鬼を倒していく中で鬼を人に戻す方法を探してほしい」
鱗滝の言葉に桑島は勿論、炭治郎も驚いた。なぜなら育ての弟子ということは鬼殺隊士になって鬼を殺すことを目指している人間だ。いくら禰豆子が人を喰わぬと言ってもその人も困るし嫌だろう。何の縁も縁もない他人なのだから。
「何という無茶苦茶な・・・・・・」
「桑島も手紙で優しい弟子だと書いていただろう。勿論、本人の了解が取れればだ。取れぬ場合はお館様に判断を仰ぐつもりだ」
鱗滝のお館様の判断という言葉に炭治郎はざっと血の気が引いた。つまり殆ど、すでにその弟子という人に自分たち兄妹の命運は託されているも同然だ。しかしやはりどんな善人であれば他人の為に鬼と戦い、鬼を人に戻そうといてくれるというのか。炭治郎は無意識に隣に座る禰豆子の手を握るが、禰豆子なぼんやりとしているばかりで反応はない。
「ううむ・・・。鬼を人に・・・ううむ、しかし可愛らしい鬼娘じゃ。これならば・・・ううん・・・。確かにあやつも何か目標があれば少しは・・・」
ウンウンと唸る桑島に炭治郎はどうすべきか迷った。禰豆子を連れて逃げるべきか。しかし鱗滝を躱せるとは思えない。ここにくる切っ掛けをくれた冨岡は他人に生殺与奪の権利を握らせるなと言っていた。しかし炭治郎に力はない。悲しいくらいにないのだ。
そう思っていた時、炭治郎の鼻がふわりと匂いを感じ取った。それは春の野原に咲くたんぽぽのようで、しかし鋭さを感じる強さの匂いでもあった。そしてなんだ、何の匂いだと考えるより先にーー叫びに似た声が響いた。
「爺ちゃーーーーん!!戻ってきたよおおおお!!言われた通り山登って頂上まで行って降りてきたよおおおお!なんなのここ!!罠が!罠がしこたまあった!!死ぬかと思った!一回でも罠に引っかかってたら死んでいたよおおおお!!」
「ん?来おったか。思ったより戻ってくるのが早かったな」
桑島はそう言うと家の扉を開けた。すると扉の向こうには金の髪を持つ炭治郎と同じ年頃の少年がこれでもかと涙を流して立っている。着物は泥汚れが付いていたが怪我は一つもないようだった。
「入れ善逸。ここはわしの知己である水の呼吸の育て、鱗滝の家じゃ」
「えっ・・・水の呼吸って・・・・・・うそ!?嘘でしょ!?まさか俺、爺ちゃんに捨てられるの!?雷の呼吸の型が1個しか使えないから見捨てられちゃうの!?一つの型を極め抜って言って一ノ型だけ修行させてんの爺ちゃんじゃん!!やだやだやだ!!俺、俺、爺ちゃんに恩返ししたいのにいいいい!!捨てないで!捨てないでよおおおお!!」
「うるさい!泣き喚くな!!見捨てるつもりはない!!用があって連れて来たんじゃ!!とにかく入れ!!」
炭治郎は目の前で繰り広げられるやり取りに唖然となった。善逸と呼ばれた少年はみっともなく泣き喚いて桑島の腰に縋っている。こんなに恥を晒す男を初めて見たが、強さの匂いは本物で視覚と嗅覚がチグハグで目眩がしそうだった。
「うっうっ・・・・・・あ、え、可愛い!!うそっ!可愛い!こんな可愛い子って世界に存在するの!?」
善逸は桑島について一歩家に入ると、目に飛び込んできた禰豆子を見てワッと髪を逆立てた。そして目をまん丸にして口元を手で覆い、感激に打ち震えている。炭治郎が禰豆子は確かに可愛いけれど・・・と戸惑っていると桑島が「ヘラヘラするな!!」と善逸の尻を杖で叩いた。善逸は痛みに飛び上がると「酷いよぉ!こんなに可愛いくて素敵な女の子見たことないんだもん!」と文句を言う。
「善逸!お前の耳ならばこの娘が鬼であることは家に入る前から分かっておったであろう!これから鬼殺隊士になる奴がそんなんでどうする!もっも警戒を持って入ってこんか!!」
善逸を叱る桑島の言葉に炭治郎は驚いた。禰豆子が鬼であることを見る前から気がついていたと言うのか。鬼が中にいると知っていて素直に入って来たのか。
「ええ?でも可愛い女の子だよ?それにこの子からは鬼の音はするけど、びっくりするくらい綺麗な音してるし・・・。他の鬼とは違うよぉ」
デレデレとした顔で言う善逸に炭治郎はハッと息を吸った。そして、次いでボロリと涙が溢れる。止めどなく溢れてくる熱い涙に炭治郎は「あっ、えっ、あれっ」と焦るが全く制御ができない。
「えっ!?なんで泣くの!?ど、どうしたの!?俺なんか不快なことしちゃった!?」
「いや、違う、そんなことは・・・・・・」
ボロボロと涙を流す炭治郎を鱗滝も桑島も何も言わなかった。ただひとり善逸だけが焦ったように懐から手拭いを出すと恐る恐る炭治郎に差し出してくる。「なにがあったか知らんけど泣くなよぉ」と背中をさすってくる善逸はすっかり禰豆子に背を向けていた。鬼を信じて背を向けるその姿に炭治郎は胸の中にずっとつかえていた何かが解けたような心地になった。
それから夜が更けるまで炭治郎は泣き続け、禰豆子は限界がきて眠りに落ちた。
桑島と善逸に竈門家を襲った悲劇を説明できたのは日を跨いだ頃だった。遅すぎる夜食を食べながらとつとつと話される内容に善逸は箸をゆっくり進めながら顔色を青くしたり白くしたりと忙しい。しかし同情のような涙を流すことは一度もなかった。
「・・・・・・ということで、炭治郎には呼吸の才がない。そこで炭治郎と禰豆子を、そして禰豆子を人に戻す方法を探すことを君に託したい。たくさんの鬼に会い、人に戻す方法を探して欲しいのだ」
「なんだって!?嘘でしょ!?今までの話がそこに繋がるの!?」
一通りの経緯を話し、頼みたいことを告げた鱗滝に善逸は飛び上がって驚いた。顔色は白く、匂いは信じられない、不安と訴えているが炭治郎からすれば善逸は一筋の希望だ。
鬼の禰豆子を見て身構えずに可愛い女の子という人は滅多にいないだろう。それも鬼の危険性をよく知っている鬼殺隊に関わる人間の中でどれだけ探せば見つかるかも検討がつかない。
「無理だよおおお!!力になってあげたいけど俺は弱いんだぜ!!爺ちゃんも何か言ってやってくれよおおおお!!」
「これは善逸、お前が頼まれていることだ。やるかやらないかはお前が決めろ。・・・・・・だが、お前が引き受けねば鬼の娘はそう遠くないうちに首を落とされるだろうな」
「えっ!!」
桑島の言葉に善逸は固まった。当然、炭治郎も禰豆子の末路に言葉をなくす。禰豆子が死ぬことになったら己はどうすればいいだろうか。そんなのは決まっている。禰豆子と家族を追って黄泉路に下るしかない。何もできずに禰豆子を死なせたとあれば、そんな後にのうのうと生き続けることは炭治郎にはできない。
炭治郎は恐怖で身を震わせ、力のない自分を呪った。しかしそんなことをしてもどうにもならない。力がない理想はただの夢だ。炭治郎は無力だ。
そんな炭治郎を善逸はじいっと見つめた。そして唇を噛み締めると目蓋をギュウッと閉じて正座をしたまま身を右へ左へとよじる。そうしてようやく目を開けるとこれでもかというくらい青白い顔で言った。
「・・・・・・やるよ。俺、禰豆子ちゃんを人に戻す方法、探すよ。鬼は怖いけど・・・・・・俺、弱いけど、やれるところまで頑張るよ・・・・・・」
ガタガタと震えながらそう言った善逸に炭治郎は言いようのない気持ちに襲われた。感謝と驚嘆と信望と色んな感情が混ざり合ってどう表現すれば分からない。
しかし炭治郎と禰豆子はこれで一筋の光を得た。善逸はさらなる修行をすることを炭治郎に言い、必ず最終選別を生き残り帰ってくることを誓った。炭治郎は鱗滝を通じて隠になることとなり、善逸が修行をしている間に隠としての修練を積みに行くことになった。
善逸とそして禰豆子と別れを告げ、それから再会が叶ったのは四ヶ月後のことであった。
****
「死ぬかと思ったわ」
「死ななくて良かった。善逸も伊之助も無事で良かった」
「いや、任務もそうなんだけどね?柱に囲まれたのが精神的にやばかったわ。なんなのあの人達、おっそろしい音させてたわ!!本当に同じ人間なの!?」
「静かにしろ善逸、傷に響くぞ」
那田蜘蛛山での下弦の伍とやり合った善逸はあちこちを負傷していた。鼓屋敷から行動を共にしている伊之助も蜘蛛男とやり合い、叶わなわずに水柱に助けられたらしい。善逸の隣の寝台で落ち込んで沈んでいる。
善逸は禰豆子と共に下弦の伍とかなり肉迫したようだったが下弦の伍が一枚上手であったのと持久力の都合で呼吸が途切れてやられそうになったのをこれまた水柱に救われたらしい。
・・・・・・らしい、というのは炭治郎はその現場をひとつも直接見ていないからだ。隠である炭治郎は那田蜘蛛山の外で他の隠と共に待機しており、蟲柱の継子である栗花落カナヲの指示と警護で初めて山に入ったのだ。その時には全てが終わっていて、炭治郎が見たのは鬼を連れた隊士として拘束される善逸と禰豆子の姿だった。
その後は事後処理を少ししたら炭治郎は禰豆子の兄ということで参考人として産屋敷邸に向かった。善逸は禰豆子は無事なのかと焦りながら到着すれば、すでに裁判は始まっており縛られた善逸と箱の中で血を流す禰豆子の姿があった。
善逸は禰豆子を傷つける風柱に喰って掛かっており、そして禰豆子は自らの意思で食人の欲求を跳ね除けた。柱達は禰豆子を認めなかったが、鱗滝、冨岡義勇、桑島慈吾朗、そして我妻善逸の命を賭けることで存在を許された。そこに炭治郎の命はなかった。鬼を倒す力のない隠である炭治郎の命など天秤に乗せるだけの価値がないということで、善逸は本当に何の縁もゆかりもない兄妹の為になんの見返りもなく命を懸けることになったのだ。
「ごめん。俺たちの為に善逸にばかり苦労を掛けてしまう。それどころか・・・命まで・・・」
炭治郎は青白い顔で善逸の手を握りながらそう言った。こんなことを言っても何にもならないのは分かっている。炭治郎達には善逸にしか託せないのだから。そして善逸も優しすぎるゆえに炭治郎達を見捨てることがないことを知っているのだから。
「いいよぉ。だって禰豆子ちゃんは絶対に人食わないから、あの約束はあってないようなもんじゃん。それよかごめんよぉ。俺がもし死んだら・・・・・・その・・・・・・」
言い淀む善逸に炭治郎はゆるく首を振ってその手を両手で握った。そして善逸に目を合わせると自分がどれだけ善逸を信じ、そして運命を共にする覚悟はあることが伝われと願って言葉を口にした。
「いいんだ。善逸が死んだら、俺も禰豆子も果てる。それくらいの覚悟はとうの昔にできてるんだ。だからお前は俺たちの後のことなんて気にせずに鬼殺の剣士として生きてくれ」
柱合会議でもう一つ出された条件は竈門兄妹を保護する我妻善逸隊士が殉職した場合、鬼の禰豆子は直ちに柱によって首を落とされるということだった。善逸は異を唱えたけれど禰豆子を助けたいのは我妻善逸の自由意志からだ。鬼殺隊として推奨することではない。
そも鬼である禰豆子を見逃すのはその特異な体質が鬼舞辻無惨の思惟の外であることと、我妻善逸が浅草にて鬼舞辻無惨と邂逅している故だ。鬼舞辻無惨は臆病な故に顔を見たのに生きている我妻善逸を狙う確率が高いからだ。現に我妻善逸はその後すぐに追手を掛けられている。この現状から産屋敷は我妻善逸と禰豆子に有用性を見出したのだ。
炭治郎も何の発言も許されなかったが柱合会議の場にいた。鬼を倒す鬼殺の剣士達を率いる柱さえも禰豆子を交換条件がなければ受け入れられなかった。つまりは鬼とはそこまで異端な生き物なのだ。
善逸が死に、その庇護を失えば炭治郎と禰豆子の居場所などない。禰豆子の有用性から生かされる可能性はあり得なくもないが・・・・・・それは正しく役に立つから以外の意味はなく、禰豆子が禰豆子として尊重されることはあるのだろうかと炭治郎は思うのだ。だからこそ、善逸が死ねば兄妹で後を追おうと思う。
善逸は孤児なのだという。
一人の黄泉路は寂しかろう。
けれど三人ならば行く先がどこでも寂しくないはずだ。
「善逸以外に俺たちの命運は預けられない。だから何も気にすることはないぞ!」
「いやー!めっちゃ重いよーー!!」
泣いて喚く善逸に炭治郎は困ったように笑った。もう全てが今更なのだ。鱗滝の家で善逸が竈門兄妹を背負うと言った時から、もはや我妻善逸は生きていても死んでいても竈門兄妹からは逃げられない。
「とにかく早く治して修行だな!」
炭治郎はそう言うと、懐の手拭いを出して善逸の涙を拭った。
おまけ
◯竈門炭治郎
修行をめちゃくちゃしたけど呼吸の才能がなかった為に剣士になれなかった。水の呼吸が合わなかっただけで日の呼吸ならいけたって感じでも、いいけど全く才能なくてもいいな。日の呼吸の才能ある場合はどっかで気がついて再修行して原作の流れになる。才能ない場合はほぼ戦闘中はお留守番なのでどっかで善逸が死んで兄妹も死亡する確率高し。
善逸のことは恋とか友情とか恩義とかぐっちゃんぐっちゃんに混ぜ合わせててクソ重たい感情を抱えてる。でも負傷で自分で性処理できない善逸のいちもつをしれっと握って出させるくらい普通にする。怖い。
隠として働いてるけど、基本的に我妻善逸担当。鎹雀かなんかなのっていうくらい一緒にいる。
隠としての教育係は後藤さんで教育中は真面目ないい奴と思ってだけど柱合会議の後に色々と事情を知って、善逸に向ける感情とか目がヤバイのに気がついて震えてる。けど炭治郎は気にしない。善逸か無事であればそれでいい。禰豆子が人に戻ってくれるのがやはり最たる望みだけど、兄妹二人の為に傷だらけになりながら頑張ってくれてる善逸を見ると最初の頃は申し訳なさが勝ってたのに最近は仄暗い幸せを感じている。きっと禰豆子も鬼の己のために善逸が頑張ってくれているのを見て幸せだと考えてる。
要するにヤンデレ。
◯我妻善逸
優しすぎる性格と自分の信じたいものを信じた結果、生きてても死んでても竈門兄妹と行かねばならなくなった男。家族も友達もいない人生で期待されたのも爺ちゃんが初めてでってところで竈門兄妹に出会った故に全てを兄妹に捧げる羽目になった。でも本人は後悔してない。むしろ弱い自分に話が来て、不運な子達だと思ってる。でも善逸以外は引き受けないのが必死なのでこの運命しかない。
けれど何よりも期待をかけ、そして善逸を頼りにしているのが竈門兄妹なので善逸は二人の為にガチで死んでもいいと思ってる。こんなに求められたことないからという軽い理由で重いことを為す男。
たぶん、二人の命運が掛かってるのでめっちゃ怖くて嫌でも逃げださない。そして禰豆子も基本、戦闘時は一緒なのでなので気絶せずに戦えているかも。何かを成すときはやる男。守るものが明確なので倒してる自覚もあるなら階級あがるの早そう。
竈門兄妹のクソ重たい感情はそもほかにあまり感情を向けられて生きてきてないので口では「重いよー」というが、実際にはどれほど重いのかも判断つかずに受け入れている。一生気がつくな。
◯竈門禰豆子
兄と共に善逸に生殺与奪が握られているが、何とも思ってない。暗示はかけられているが、善逸は家族だとは思ってない。ただ炭治郎が大事にしているので大事にすべき相手だという意識があり、少しずつ情緒が進むと自分としても大事な人だと理解する。
柱合会議では危うく不死川を喰いかけたが、善逸がいるのを見て食ったら何が起こるか本能的に察して我慢した。襲い掛かったら自分はもちろん、善逸も炭治郎も死んでる。
善逸と炭治郎がいる時は炭治郎が禰豆子を背負い、炭治郎が場を離れる時は善逸に背負われて行動を共にする。炭治郎だと禰豆子に万が一があったときに頸を斬れないため、鱗滝に厳命されている。
善逸は「お兄ちゃんと離れてて寂しいよね、ごめんね」と言ってくるが移動中に禰豆子によく子守唄を歌ってくれるので別に寂しくない。むしろ善逸と一緒に戦うことも同じ景色を見ることもできない炭治郎の方が寂しいんだろうなあと悲しく思っている。
◯鱗滝
炭治郎に呼吸の才能がないのは割と早く見抜いていた。禰豆子が目を覚ますまでは好きにさせようと放任していたが、一人で諦めずに修行する炭治郎が可哀想で仕方なかった。その結果、桑島が「新しく取った弟子が才能はあるが優しすぎて困る。騙されるのを分かっていても信じたいからと人を信じてしまうきらいがある。こうと決めたら己を曲げないという美点でもあるが・・・・・・」と弟子自慢の手紙を読んで炭治郎達を託せないかと呼びつけた。正直、マジで引き受けたのにびっくりした。
◯桑島
弟子自慢の手紙を送ったら弟子があっさり人の命運引受けたのを誇りに思えばいいのか心配すればいいのか分からなかった。でもやると決めたらやるし、竈門兄妹の経緯を聞いた段階で躊躇う理由が「俺弱いから」という点だったので背中を押した。弟子は強いのだ。たぶん、今季の同期の中で絶対に一番強いし才能あると弟子馬鹿であった。
◯錆兎と真菰
努力家で諦めない炭治郎に期待していたが、時間が経ってもどんだけ努力しても全然身につかないのを見て才能がないと理解した。悲しい。めちゃくちゃ悲しい。炭治郎達の事情は勿論知っていて、なんとか剣士にさせてやりたかったけどダメだ才能ないと二人で泣いた。
これ以上は炭治郎が身体を壊すからと才能がないことを告げて姿を消す。すると暫くして山を登る金髪の剣士が来て、鱗滝の罠を初見でも危なげなくかわす姿と呼吸の使い方に才能のある奴だと感じた。
誰だろうと思ってるうちに幽体で鱗滝の家を二人で覗いてると竈門兄妹と運命を共にすると金髪が言うので錆兎と真菰は両手を上げて喜んだ。
ちなみに善逸は鱗滝から選別とお守りとしてお面を渡されていたのでがっつり例の鬼に狙われたしバッチリ頸を落とした。



コメント